禅定で自分を見つめる(その3)「心の中の異次元空間」

先回に引き続き、Eさんとの問答を続けます。
先回は、夢と禅定の異なっている点と共通点について学びました。今回も禅定の具体的な話が続きます。
以下は、Eさんとの会話の内容です。

【Eさん】 先回は、夢と禅定の違っている点と共通点について教えていただきありがとうございました。 今日もその続きを教えて下さい。

【お助けマン】 はい、分かりました。 それでは禅定のスタイルからお話しをしたいと思います。 通常、禅定とは座禅をすることと理解され、スタイル的には足を組んで背筋を伸ばして、両手を重ねて丸い輪を作る姿を言うのが一般的ではないでしょうか。

【Eさん】 はい、そうです。テレビで禅寺の風景など放映した映像の中にお坊さんが禅定をしているところが出てきますが、そのスタイルをよく見ます。

【お助けマン】 ところが、先回、禅定とは、単に座り続けることではなく、禅定によって自分の意思で霊界に行き、 霊太陽の光を受けたり、高級霊人との交流によって霊界の光を受け、結果的に智慧を得ると言うことが禅定の本当の意味でもあるとも言いましたが、 もし、その目的が果たされるならむしろスタイルなんかどうでもいいのです。
つまり、霊界との交流ができるならば、必ずしもスタイルにこだわる必要はないということなのです。 例えば、もし自分がソファーに座ったほうが霊界と通じやすいというならそのようなスタイルでもいいし、 また、ソクラテスのように立ったままのほうが霊界との交流がしやすいというならそれでもいいのです。 逆に、あまりにもスタイルにこだわって気にしすぎて、禅定の本来の目的である霊界との交流ができないなら、 それは本来の禅定の目的から外れているということになります。

【Eさん】 それは嬉しいことです。 私は、足を組むことが難しいので禅定はできないものとあきらめていましたが、 そうなんですね。

【お助けマン】 はい、そうです。これも禅定の目的が忘れ去られた結果でしょうね。 要するに、自分にとって禅定の目的である霊界と通じやすいスタイルであれば何でもいいということなのです。 またさらに、バックミュージックを使うことも自由です。 例えば、静かで幻想的な曲を流してもいいし、あるいは、せせらぎの音や小鳥のさえずりの声などの自然の音を使ってもいいのです。

【Eさん】 いや、それはいいですね。私は、やはりせせらぎの音や小鳥の声などの自然の調べが好きなので嬉しいです。

【お助けマン】 要するに体をリラックスさせて、 体を受身の状態にすることが大事なのです。そのためのスタイルであり、また、バックミュージックでもあるということです。

【Eさん】 はい、分りました。体の体勢が整ったら次にはどうすればいいのですか?

【お助けマン】 はい、体の体勢が整ったならば、次に呼吸法に入ります。 呼吸法には色々とありますが、今日は、鼻から息を吸って口から出す方法を行ってみたいと思います。

【Eさん】 そのとき、両手はどうすればいいですか?

【お助けマン】 まず受身の状態にしたいと思いますので、手の平を上に向けてヒザの上に載せます。 そして、この状態で鼻から大きく息を吸ってお腹まで息を落とし、吸い終わったら今度は口から出来るだけ長く息を吐き出します。 目は、半眼と言って薄目で少し前方を見るような感じにします。見ているものに気が散らないためにも薄くものが見える程度にします。

【Eさん】 はい、分りました。それではやってみます。

【お助けマン】 それでは呼吸法を始めます。
・・・・(鼻から息を吸って)・・(はい口から吐いて)・・・・・・・
・・・・(鼻から息を吸って)・・(はい口から吐いて)・・・・・・・
これを4,5分繰り返します。

はい、では元の自然な呼吸に戻して下さい。
それでは、次に今日の出来事を振り返る反省の修法から入ります。
この反省の修法は、本格的な禅定を行うための入門口として非常に有効なものです。 なぜなら、目を瞑って考えなさいと言っても何を考えればいいか分らない人も多いと思いますが、 そう言った人たちに対して、今日朝起きて、ここに座る今までの間に起きたことを順番に思い出しながら、 第三者になったつもりでそれをながめて下さいと言えば、それは具体的であるため結構できるものです。 また、反省は霊的にも悪霊に影響されない非常に安全な修法なのです。

それでは、目を閉じて、今日、起きてから今ここに座るまでの出来事をずっと順番に思い出していきます。 今度は、反省なので能動的になりますので、手の平を下にしてヒザに載せて下さい。
はい、それではどうぞ。
・・・・・・・・・(約10分ぐらい)・・・・・・・・・・

はい、目を開けて楽にして下さい。
どうでしたか、できましたか?
第三者になったつもりで自分を見ると、結構、これは良くないなと思うところがあったと思います。 そこを修正していくのが反省の修法でもあります。いかがでしたか?

【Eさん】 はじめは、雑念と言いましょうか、朝起きてからのシーンが出ては消え、 他のシーンが出てきましたが、意識してそれに集中しようと思うと、 段々と他のシーンに邪魔されることが少なくなりました。 それと、おっしゃるように、これは良くないなと思う自分の姿が結構ありました。

【お助けマン】 ああ、段々と慣れて来られたようですね。 以前、心のコントロールの方法についてお話ししたことがありましたが、 最初は、雑念との戦いになるでしょうね。今日のことを思い出しなさいと言ってもなかなか思いが定まらないものです。 でもこれで普通なのです。すぐにはできないものです。 要するに、禅定や瞑想というものは、心の中にいかに異次元空間を作るかということでもあると思うからです。

【Eさん】 えーっ! その心の中に異次元空間を作るということは一体どういうことなのですか?

【お助けマン】 私も初めはそんなことを考えなくて反省の修法を始めたのですが、 実はそれが不思議なのです。反省修法を続けるうちに段々と禅定に入るスタイルができたのではないかと思うのです。 初めは、それは雑念でいっぱいでした。今日の出来事を思い出そうとしても、 気になることや他に興味のあることばかりが出てきて、たった今日の出来事であっても思い出せなかったのです。 しかしながら、それを続けるうちに今日の出来事に絞って思い出せるようになってきたのです。不思議です。

【Eさん】 お助けマンさんも初めはうまくいかなかったのですね。少し安心しました。

【お助けマン】 そうですよ。私は、会社で忙しく働くビジネスマンですので、 そのような修法をやったこともなかったのです。 ですから心が千々に乱れ、今日の出来事を思い出すどころではなかったのです。

【Eさん】 それで、どうされたのですか?

【お助けマン】 実はね、その答えは繰り返し実践して慣れるということにあったように思います。 つまり、毎日それを繰り返すことによって、何か心の中に過去のビジョンを見られる空間のようなものが出来てきたように思うのです。

【Eさん】 それが、先ほどおしゃった異次元空間のようなものだったのですね。

【お助けマン】 そうです。 毎日、習慣化して一日の出来事を振り返っているうちに、現在ただ今自分はここに居ながら、実はその空間の中に過去の自分もいる、 そんな不思議な空間のようなものが出来てきたように思うのです。

【Eさん】 いやー、これはいいことを聞きました。今、自分はここに居ながら、 その空間には過去の自分が居る・・・。これはおもしろいですね。まるでバック・ツー・ザフューチャの映画じゃありませんか。

【お助けマン】 たぶん、これが心の中のような感じがしています。 ですから、自分自身は、この空間、この時間に今こうして居るわけですが、実は、別の空間にも過去の自分がいると・・・。 この別の空間というのが四次元以降の世界で、実はこれが霊界でもあるわけです。 そして、四次元以降の世界からこの三次元世界に居る自分を眺めることもできると・・・。

【Eさん】 いやー、おもしろいですね。何か聞いていますと、 以前紹介して下さった『太陽の法』の中の「漁師と亀」の話しを思い出しました。 漁師のように高次元の認識力をもって亀を見れば、非常にあわれに見えるというものでしたね。

【お助けマン】 いや、すごいですね。そのとおりですよ。 漁師が持っている高次元の目で、例えば、亀にたとえられる三次元の自分を見るということが、 実は禅定における自分を見つめるということではないでしょうか。 だから、『心の挑戦』の 104ページにある「自分自身を反省しながら、次第しだいに、深い深い心の中に降りていく」と説かれていることが、実感としてひしひしと分かってくると思いますよ。

と、さらに問答が続きますが、このあとは次回に続きます。 お助けマンは、禅定において自分の体験談を話してくれました。そして、それは、三次元世界に居ながらにして、 同時に高次元世界まで心の領域を広げ、三次元の自分を見つめることでもあると言いました。

次回は、さらにそのところをEさんが質問する予定です。
主エル・カンターレに感謝。

(終わり)