脱原発、卒原発の主張のおろかさ

入会間もないEさんが、今回の選挙で、脱原発や卒原発を主張している政党があること自体に日本の危うさを感じてやって来られました。
以下は、そのときのEさんとの会話の内容です。

【Eさん】 そろそろ選挙日が近づいていますので、どこの政党がどうであるとかは言いませんが、 日本の政党のありかた自体が本当に危なく、なぜ問題とならないのか、実は、国を憂いて今日はやって参りました。

【お助けマン】 私も色々な政党の言っていることを聞いたり読んだりしていますが、 ここまで日本に考える力がなくなったのかとびっくりしているところです。
ところで、今、現実にEさんが憂いておられることとは何ですか?

【Eさん】 はい、憂いが多過ぎて困るのですが、最近立ち上げた党で、もう大衆迎合と言うか ポピュリズムが見え見えの党が、 脱原発や卒原発をまず真っ先にあげていることです。これを主張するなら 代案の根拠を示すべきであると指摘する大学教授もおられるのですが、何しろ原発は危険だから無くすと言っているのです。

【お助けマン】 これは、何か先の大戦で負けたあとの状況によく似ていますよね。 日本という国は、反省するのは結構なのですが、非常に短絡的にものごとを判断してしまうところがあるようです。 戦争はいけない、では今度はその反対の徹底した平和を求めると言って、他国がミサイルを発射しようが日本の領土を取られようが黙っている、 そのようなところがあるのではないでしょうか。

【Eさん】 はい、そうなのです。
原発も東日本大震災が起きて、原子炉自体は震度7にもびくともしなかったのですが、 津波によって全電源が失われた結果、原子炉の冷却ができず水素爆発してしましったのです。さらに悪いことに、その事故処理を専門家に任せておけば良いのに、 当時の菅首相が余計な介入をして災害を増幅してしまいました。 それで、福島の原発事故の原因が言わば人災であったにも係わらず、何でもかんでも短絡的に原発反対となってしまったことが非常に残念なのです。

【お助けマン】 これは一言で言えば、核アレルギーが息を吹き返して「原発イコール悪」となってしまった結果ですね。
では、少し解説をしてみたいと思います。そもそも日本は世界で唯一の被爆国です。それで放射能被害に対しては、世界の中では飛び抜けて敏感な国であると言えます。 ですから核に対するアレルギーには相当なものがあると考えていいと思います。
その日本が、苦渋の決断をして原発を推進をした背景にはエネルギー問題がありました。1970年代から1980年代にかけてオイルショックがあって、 その後、石油に頼らないエネルギーを模索していました。石炭は空気汚染という環境問題があったので、もう原子力エネルギーか自然エネルギーしかなかったということです。 もちろん自然エネルギーでは需要を満たせるはずもなく、結果的に原子力エネルギーが推進されたという背景があります。

【Eさん】 そうだったですよね。そういう歴史があったことを思い出しました。

【お助けマン】 さらに、地球温暖化の原因となるCO2についても京都議定書 によって厳しく削減を迫られた背景があり、石炭や石油を燃やしてエネルギーを作ることは最早考えられなくなったのです。

【Eさん】 ポピュリズムであることは分るのですが、そのような背景があるにも係わらず、なぜ脱原発や卒原発という発想が出てきたのでしょうか?

【お助けマン】 以前、政治にも悟りを取り戻さなくてはならないと言いましたが智慧がないのです。 智慧がないという表現が分りにくいなら、ものごとを論理的に考えることができないということです。 特に、数学に弱い人が、気分的に考えるようですが、ものの因果関係を無視した発想になるということです。

【Eさん】 その論理的にものごとを考えることができないということですが、これは、どういうことですか?

【お助けマン】 例えば、数学などで、A=B B=C ならば、A=C ですよね。これが分らないのです。
つまり、原発を停止する。ならば、その代わり火力発電所を増強する。それによって化石燃料を多量に消費する。すると、空気汚染も増大するし、高額な化石燃料代の支払いにより電気代が高騰する。 すると、国民の家計が圧迫される。また、企業においても電気を多く使う会社は倒産する。すると失業者が増え大不況がやってくる。すると、国の税収が減る。 消費税増税のおまけ付きで、国民が貧しくなり、さらに景気が後退し税収はさらに激減する。そして国が貧乏になり衰退する、という悪循環が起きる、という因果なのです。

【Eさん】 いやー、よく分りました。落語によく出てくる 「風が吹けば桶屋が儲かる」ということと同じですね。 何か、脱原発や卒原発の主張を聞いていると、下手な落語を聴いているようで、これはもう失笑そのものですね。 大笑いだと落語にもなるのですが、アホくさくて大笑いもできませんよね。
それにしても、主婦の私にも分るこんな簡単なことが、なぜ、今の偉い政治家の人たちに分らないのですか?

【お助けマン】 それは、政治家だからと言っても偉いわけでも頭がいいわけでもないのです。 子供手当のバラマキ公約の失策や事業仕分けの失態を見ればいかに頭が悪いかが分るでしょう。 ですから、国民としては空気に支配されず、しっかりとその正当性を見ていくことが大事だということなのです。
マスコミだって、数学ができなくて仕方なくマスコミに入ったという人もいるのでしょう。 ですから、やはり国民が良書を読んだり、正当な意見を発信している政党の考え方を学ぶなりして自己防衛するしかないのではないでしょうか。

【Eさん】 よーく分りました。おっしゃるように、私も、空気や感情に振り回されずに、 しっかりとものごとの道理を見ていきたいと思います。当然、選挙は今のお話しを参考にして投票したいと思います。 今日もいいお話しをいただきありがとうございました。では、今日はこれにて失礼します。

と言ってEさんは帰られました。大川総裁は、先回にご紹介した『地球的正義とは何か』 にて、正義とは何かを明らかにされました。 誰が正しいかではなく、何が正しいかということが一番大事なのです。
さらに大事なことを言い忘れましたが、脱原発と卒原発は、核兵器を持っている国に対して、我国は防衛能力を放棄しましたよと宣言したことと同じとなるため、 容易に征服される危険性を合わせ持っているということです。つまり、アメリカの核の傘がなくなった瞬間に、チベットのようになるということです。 ここまで分って脱原発を言っているかは分りませんが、脱原発は亡国となることも合わせて国民に理解してもらいたいものです。
エル・カンターレに感謝。

(終わり)