時間的観点から仕事を見る ― 縁起で仕事を見る
先週に続いてEさんが来られました。 Eさんは、 先週、「人はなぜ一つのことしか出来なくなるのか」聞きに来られた方です。それで今週は、 時間的観点からの仕事の見方について聞きに来られたのです。
以下は、Eさんとの会話の内容です。
【Eさん】 先週、人が一つのことしかできない理由の一つとして「認識力不足」があるということを教えていただきました。 そして、その説明の中で、仕事の見方に「時間的観点」と「空間的観点」があることを教えていただきましたが、 どうも理解するのが難しくて・・・。
【お助けマン】 はい、難しくてすみません。 でも、認識力とは悟りと同じですので、理解ができれば喜びもまた大きいものです。
【Eさん】 分りました。 それじゃ今日は先回の続きですが、よろしくお願いいたします。
【お助けマン】 はい、では先回の続きとして、 時間的観点からの仕事の見方についてお話ししたいと思います。
実は、この時間的観点からの仕事の見方も二通りがあり、一つは、 現在から未来に向かう時間の流れで、仕事がその後どのようになっていくかを見るという見方と、 もう一つは、仕事が未来に理想どおりに出来上がったとして、 その姿から逆算して現在の仕事を評価するというこの二通りの見方があると思われます。
【Eさん】 えーっ、そうなんですか。時間の観点から仕事を見る方法にも二通りがあるのですか。
【お助けマン】 はい、そうです。両方とも「縁起の理法」で時間的流れを見ていくことには変わりはないのですが、 現在から未来へと見る順方向での「縁起の理法」の見方と、 未来の結果から「縁起の理法」を逆方向で見る見方の二通りがあるということです。 実は、この二つともそれぞれ内容があり、一回で両方をお話しすることができませんので、 今回は、順方向での「縁起の理法」による見方についてお話しをさせていただきたいと思います。
【Eさん】 はい、分りました。お願いいたします。
【お助けマン】 まず、現在、自分がある仕事をしているとします。 この仕事は、それが原因となって、その後、必ず他に影響を及ぼしていくことになりますが、 その影響はさらに連鎖的に他にも影響を及ぼしていくことになります。
例えば、池の中に石を投げ入れたならば、それが波紋となり360度に広がっていきます。 そして、その波は水面の水草を動かし、また、池の水辺の砂をも洗うでしょう。 ですから、今、自分が行っている仕事が池に投げ込まれた石だと思えば、今後、 その影響がどのように他に及んでいくのか、これを考えればいいことになります。
【Eさん】 池に投げ込まれた石のたとえでは分るのですが、 でも、具体的な仕事ではどのようになるのでしょうか?
【お助けマン】 はい、例えば、Eさんが営業部の人だとして下さい。 そして、社長からある商品を売りなさいという業務命令が下されて、 Eさんが、それをお客様に販売すると考えて下さい。
【Eさん】 それは分りやすいです。想像ができます。 私がセールスをして売ればいいのですね。 値段にもよりますが、商品がお客様から好まれるいいものだったらよく売れるでしょうね。
【お助けマン】 でも、どうでしょうか。その商品が未来永劫に売れ続けるでしょうか。 考えてみてください。
【Eさん】 うーん、ライバル商品が出て来ないとすれば、今後もずっと売れ続けると思いますが・・・。
【お助けマン】 本当ですか? もし、その商品が全てのお客に行き渡ってしまったらどうでしょうか?
【Eさん】 それはもちろん、それ以上売れることはないでしょうね。
【お助けマン】 そのとおりです。お客にその商品が行き渡ったところで売れなくなります。 昔、 三種の神器と言って白黒テレビ、洗濯機、冷蔵庫が爆発的に売れましたが、 各家庭に行き渡ってしまったら、家電業界は苦境に陥りました。 そこで、家電各社は、さらなる顧客を求めて海外に出て行ったということです。 これは、何も家電業界だけの話しだけでなく自動車業界でも同じなのです。
【Eさん】 なるほどねー。じゃ、宗教においても同じなの?
【お助けマン】 全く同じではありませんが、ある意味で同じところがあります。
救世運動においては、信者を増やさなくては何事も進みませんのでそこのところは、 「顧客の創造」に常に注力している企業と似ているところがあります。
【Eさん】 なるほど、 たとえ、講演会の参加者や布施をする人を増やしたいと思ったとしても、 原因となる信者が増えないと結果として現れて来ないのですね。
【お助けマン】 そうです。その通りです。
ですから結果だけを求めてもそれは、 現在居る信者に負担がかかるだけのことになります。 物事には必ず原因と結果の関係があるように、まず、原因として何をしないといけないのかそれを知ることが大事なのです。
つまり、もし、今、結果を求めるだけの活動をして、今後もそのスタイルでいるとするならば、 今後どのようになるのか、縁起の理法で見れば未来の姿はもう明らかです。 そして、もし、将来の結果像が理想と違っているとするならば、 すぐさま現在の仕事のやり方を改めないといけないのです。 すなわち、現在の仕事の内容を変えるか、あるいは、別の仕事もしなければならないということになります。
【Eさん】 なるほどね。それをしないで、同じ仕事をし続けるならば、 それが一つのことしかできないということになるのですね。
【お助けマン】 さすがEさん、ご理解が早いじゃないですか。
ですから、この時間の流れで現在の仕事を見るという見方は、 仕事を多様に変化させられる智慧であり、一つの仕事しかできないという単細胞的仕事法からの脱却法でもあるのです。
【Eさん】 はい、分りました。 時間の観点で見ることが、当初、なぜ一つの仕事しかできないことと関連があるのかなと思っていましたが、 今、なるほどと理解することができました。 やはりものごとは深く考えないとだめですね。
何か次回も楽しみになってきました。来週も来ますので、さらにこの続きを詳しく教えて下さいね。 それでは、また来週、よろしくお願いいたします。
と、言ってEさんは帰られました。
霊界を含む全ての世界は「縁起の理法」によって統べられています。 ものごとには必ず原因があり、その原因によって結果が起こります。 仕事もまたその法則の基にあります。 従って、仕事を「縁起の理法」によって見る見方は、 宇宙の法則にかなった普遍の方法であると言えます。
来週は、「時間的観点からの仕事を見る」のその2「縁起の逆算」で問答を続けて頂きます。
では、次回の問答にご期待ください。
主エル・カンターレに感謝。